本研究室ではヒトに病気を起こす微生物のうち、ウイルスが原因となる感染症について研究を行っています。ウイルスが原因となる感染症としては、エイズやインフルエンザなどよく耳にする感染症がありますが、最近、世間を騒がせているエボラ出血熱、デング出血熱、ジカ熱、麻疹、風疹等もウイルスが体内に入り込み、病気を引き起こします。
ウイルスの特徴は細菌や真菌などの他の病原微生物と異なり、宿主細胞の複製機構を利用しなければ自らを増やすことができないことです。これはウイルスが核酸と蛋白質という最小限のパーツしか備えていないためです。したがって、ウイルスが存続していくためには宿主との共存が必須となります。このことからウイルスを知るためには同時に宿主細胞についても深く知らなければなりません。
私たちはウイルスがどのようにして宿主細胞に侵入し、宿主免疫機構の監視をかいくぐり、宿主の複製機構を巧みに利用して複製・増殖を繰り返すことができるのか、また、どのようにして宿主に病気を起こすのか、に興味をもって研究を進めています。
現在の主な研究対象は、ヒトにエイズを引き起こすヒト免疫不全ウイルスと蚊媒介性ウイルス(アルボウイルスと言います)であるデングウイルス、チクングニアウイルス及びジカウイルスです。これらのウイルスにより引き起こされる病態の発生機序をin vivoレベル、in vitroレベルで明らかにしたいと考えています。
また、感染症流行を制御するためには簡便で感度・精度の良い検出系が必須と考え、新たな検査法の開発を目指しています。
これらの研究を通じて、ウイルス感染症制御の一翼を担いたいと考えています。
2024年4月 伊吹謙太郎
私たちの研究室では一緒に研究する大学院生を募集しています。